戦前は「井上危うし」の声も、圧倒的な勝利で井上尚弥の評価を上げた試合3選
プロ戦績24戦24勝21KO、3階級制覇、4団体統一、PFP1位と数々の実績を積み上げてきた井上尚弥。
今回は、今の評価を得るまでのターニングポイントとなった試合を紹介していきたいと思います。
オマール・ナルバエス
2014年12月30日、WBOスーパーフライ級タイトルマッチの挑戦者として挑んだ試合でした。
この年井上はライトフライ級の世界王座を獲得しており、一気に2階級を上げての試合となりました。
しかもその相手は、フライ級の世界王座を16度防衛、当時保持していたスーパーフライ級世界王座も11度防衛、プロ・アマ通じて一度もダウン経験のない39歳のレジェンドボクサー「オマール・ナルバエス」。
戦前の予想では、ナルバエスの圧倒的な実績もあり「時期尚早」などといった不安視される声も少なくありませんでした。
しかし、ふたを開けてみると予想を大きく上回るパフォーマンスを見せました。
ダウン経験のないナルバエスを1R30秒足らずでガードの上からのパンチでなぎ倒すと、そこから2Rまでに計4度のダウンを奪います。
最後は、左ボディでダウンを奪うとナルバエスはそのまま立てず、10カウントで試合終了となりました。
この試合が世界に「モンスター・井上尚弥」の名を知らしめることとなりました。
エマヌエル・ロドリゲス
2019年5月18日、WBAレギュラー王者の井上とIBF王者のロドリゲスがWBSSの準決勝として相まみえた試合でした。
ロドリゲスは、この試合まで19戦19勝12KOの戦績を誇り、カウンターパンチャーとして評価の高かったこともあり、WBSSトーナメントで「事実上の決勝戦」とも言われた試合となりました。
1R目は、プレッシャーをかけていくロドリゲスに対し、ステップワークを駆使して対応していく井上というのが全体的な構図で、パンチの精度、ジャブの差し合い共にレベルの高い緊迫した立ち上がりとなりました。
しかし、この試合は次の2R目で早くも終わりを迎えます。
1R目で相手の力量を図った両者はお互い打ち合いに応じます。打ち勝ったのは井上、左フックで最初のダウンを奪います。何とか立ち上がったロドリゲスでしたが、次は顔をしかめてしまうほどのボディで2度のダウン。
レフェリーは試合を止め、井上は2RTKO勝利を収めました。
この試合でWBAとIBFの統一王者となり、WBSSトーナメントの決勝に駒を進めました。
ノニト・ドネア2
この試合は、2022年6月7日に3団体統一戦として行われました。
対戦相手は2019年にWBSS決勝で激闘を繰り広げた「ノニト・ドネア」。
さらに、この時のドネアは井上戦の敗戦後から世界王座に返り咲き、初防衛にも成功して勢いに乗っていました。
井上も「1戦目ではドネアの株を上げてしまった。今回は、圧倒的に勝ちたい。」と意気込みを見せ、完全復活を果たしたドネアとの再戦は大いに盛り上がりを見せました。
そしてこの試合も周りを驚愕させる試合となりました。
1R目お互いの調子の良さをうかがわせる動きを見せますが、ラウンド終了間際に井上の強烈な右カウンターがさく裂しダウンを奪います。
後にドネアはこのパンチは全く見えておらず、ダウンを喫したことさえ分からなかったと語っています。
上記のような多大なダメージを負ったドネアに対し、井上は2R目にさらにプレスを強めます。
最後は、ぐらついたドネアを攻め続け左フックでフィニッシュ。
宣言通り圧倒的な勝利を収め、日本人初の3団体統一王者となった井上。
この試合でリング誌のPFPランキング1位の称号も手にしました。
1戦目の激闘もあってか圧倒的な展開となった2戦目は大きな衝撃をもたらしました。
あとがき
以上、井上尚弥の評価を上げた試合3選を紹介させて頂きました。
現在、スーパーバンタム級転向を表明し、2団体統一王者のスティーブン・フルトンと対戦合意したとの情報も出ています。
この試合でもKO勝利をするようなことがあれば、間違いなく今まで以上の衝撃をもたらし評価の上がる試合となると思います。
今後もファンを楽しませてくれるパフォーマンスに期待したいです。